優子ストーリー


Weeds Companyにある日、一通のメールが届きました。

ここで紹介する鈴木優子(旧姓:大谷優子)さんは、その一通のメールからその後の人生を大きく発展させた方です。

最初のメールは97年の秋、その後の2年間が彼女にとって大きな飛躍となりました。

Weeds Companyが彼女を変えたのではなく、彼女自身に実力と勇気と人に対する思いやりがあったからだと思います。


97年秋、毎日が平凡なOL生活から休みの日を利用して司会をはじめる。 98年春、Weeds Companyで演奏をしているチェロプレーヤーの鈴木さんと、同じくWeeds Companyのウエディング会場のひとつカーサベレッツア(渋谷)で開かれたワイン講座で出会う。 98年春、鈴木さんと交際がはじまる。 98年夏、鈴木さんは研究の都合でフランスへ 99年春、遠距離恋愛の末、婚約 99年夏、結婚と同時にフランス在住
こうして彼女は2年の間に司会の技術と結婚、フランス在住というすばらしい幸せを3つも手にいれました。彼女が地道にあたためてきたものが一気に花開く2年間だったと思い、彼女の幸せをお祈りします。

以下はフランスからいただいた彼女のメールです。

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フランスに住み始めて1ヶ月あまりが過ぎた。不動産の手続き、銀行の手続き、滞在許可証、
語学学校。毎日が新しい事ばかりの日々。ふと、なぜわたしはここにきたのだろう、と
思うときがある、けれど、忙しすぎてあまり立ち止まる事なくまた歩き出してしまう。
半年前まで、わたしは東京でOLをしていた。


 現代的で、設備の整ったオフィスで朝から夕方まで、忙しい日はずっと何かにおわれ、
忙しくない日はときどき、ふと気持ちがどこかへいったり、夕方からはおいしいものをたべにいき、
深夜まで飲む日もあるし、ブランド物も適当に買ったりする、このままここに座っていていいのだろうか、
この席はわたしが座るべき席なんだろうか、わたしじゃなくてもいいのではないだろうか、
わたしはOL以外のなにものでもなく、その一言で言いきってしまえる存在なんだろうか、
そんなことを、ずっと思っていた。制服を着ると、とたんに透明人間になってしまい、隣の人と
何一つかわらないコピーみたいな存在に自分を感じる事さえあった。

なにか違う新しい事、わたしにできるなにか他の事、生きがい、なにか手応えのあること、そんな事を
会社に入って3年目くらいからずっと考えるようになっていた。
とてもよい会社だった、仲間にも恵まれ、環境にも恵まれた、今日わたしの社会人の基礎を作ってくれた
のはまぎれもなく、この会社だけれど、自分にとってはそろそろ卒業の時ではないかと漠然と感じていた。
では、自分はなにが好きで、何ならできそうなのか、自分なりに考えた、結果、
 話す事がすきだ!と思ったわたしはアナウンススクールに通い始めた。
今思えば、ちょうどそのスクールを卒業したころから、
わたしの運命の流れはすこしずつ動き始めていたのかもしれない。

卒業後、まずは、結婚披露宴の司会をしてみよう!
そう思い、教えてくれるところを探し始めた、インターネットで
検索をしてみる事から始める。その中で一つわたしの目を引くHPをあった。
「結婚披露宴の司会を実践で教えます」これなら近道ができるかもしれない、その司会者は
葛城さんという男性。写真とともに経歴が載っている、内容もしっかりしているし、実績もある、
さっそくわたしは彼に「教えてください」とメールを送った。
 そして、この一通のメールが後にわたしの人生に大きく影響することになろうとは、このときは
まったく予想だにしなかった。

すぐにきちんとした返事をメールでもらい、直接その葛城さんという男性に電話し
アポイントをとる。

とにかく、だめでもともと、なにもアクションを起こさないよりはプラスになるし、
やってみなくちゃわからない、そう思って、待ち合わせ場所に急いだ。
すでに写真と同じ顔の人がすでにそこに待っていた。

このちょうど二年前の10月、双子座の占いを、わたしは今も覚えている。
「あなたの人生なかで、大きな運命の流れの変化が起こり始めます。」

改めて葛城さんから名刺をいただき、披露宴司会の仕事について、一通りの説明を受けた。
「結婚式って、土日に集中するでしょ、土日のプライベートはなくなるということ、
それによって、僕は君の人生を変えたくない、司会の仕事をするということは、いままでの自分と
生活が変わる可能性もあるということ、そういう覚悟もしておいてほしい、それでもやってみる?」

「・・・・・はい!やってみます」少しだけ考えたが、考えたところでやってみないとわからない。

「じゃあ、来月11月に女性司会者を2件頼まれているんだよね、それに向けてレッスンしよう。
ただ、よく考えて。ことわるのなら2日以内に断りの電話をしてほしい。」そう、帰りがけに念をおされた。

二度も念を押されて、少し複雑な心境になった。司会の仕事がしたい一心でYESの返事をしたものの、
これでよかったのだろうか。
 そもそもわたしは葛城さんという男性とはHPをみて知り合っただけで、どういう人かよくは知らない。
わたしがやろうと思っている事は間違った方向へすすむ事なのだろうか、
人生が変わるってどういうことなのだろうか。

だが、歩き出した瞬間、何もしなくてもゼロ、何かやれば、失敗しても1にはなる、いいじゃないか、
そうおもってとりあえず来月にむけてがんばる事にした。

葛城さんとのレッスンが始まった。
レッスンを受けるうちに、だんだんと彼が結婚式の司会の「技術」だけでなく、
「気持ち、心」の部分にも気を配る人だということに気づいた。
葛城さん扮する新郎新婦の動きに合わせて、わたしは原稿を片手にアナウンスをするが、
「新郎新婦の名前に心がこもってない。」・・・と何度か待ったがかかる。

そんな日々を経て、11月の初仕事がやってきた。今でもはっきりと覚えている
初めてのカップル。営業マンの彼と、別の会社で営業のサポートをしている彼女で、
二人ともとてもかんじがよかった。100人を目の前にとうとう「プロ司会」として
仕事をする日がきてしまった。原稿は前日に何度も何度も家で練習した。
葛城さんには「だいじょうぶ、レッスンどおりやればいいよ」
とアドバイスをもらった。でも、たぶん新郎新婦と同じくらい緊張していただろう。

スーツを着てバンケットルームに足を踏み入れる。緊張感と同時に、
これから起る自分にとって記念すべき出来事、
「初仕事」が、これまでの「つまらない自分」を
変えてくれるような気がして、背筋がすっとのびた。

照明が暗くなり、キャプテンの合図があり、新郎新婦が入場。いよいよ始まる・・
それからの約2時間半は本当に一生懸命で、他の事を考える余裕が全くなかった。
お開きのあと、新郎新婦に挨拶にいくと、「本当にありがとう、大谷さんにお願いし
て
よかった!」と笑顔で迎えてくれた。二人に喜んでもらいたい、
ちゃんと仕事をしたい、
まだ技術はともかく、わたしの誠意は伝わったのかもしれない。

二人の記念すべき瞬間に立ち会えた事、自分が100人のお客さんを目の前に
生まれて始めて「司会」という仕事をしたこと、
そのお客さんがわたしの声を聞いてくれた事、
二人が笑顔で迎えてくれた事・・!!
 技術的にはまだまだ不安で、葛城さんが立ち会っていたら
アドバイス事項が山のようにあるんだろうなぁ、という気持ちもたくさんあったが、
帰り道、さっきまでの2時間半が夢のようで、なんだか達成感があり、
これでよかったのかもしれないという気持ちになった。
そして、これまでの「つまらない自分」と感じていた自分も
やればできるじゃない!まだまだがんばれる!とすこし自信がつき始めた。

人生、たくさんの出会いの中で、結婚することになった二人に会うのは
とても楽しい。
目の前の二人はどんな出会いをして、どんなドラマが展開されて、
今日この日を迎えることになったのだろう。
本当に星の数ほどの出会いがあって、二人の間にいろんな事が起こり、
偶然やら、偶然じゃないやらの事件を経て「この人!」になっていくのだろうか。
目では見えない「気持ちや心」が動く、不思議な、でも一番面白い出来事だとおもう。

そんな思いで迎える打ち合せの日、二人の出会いや、結婚式のプランを聞くうちに
わたしはいつも、そのカップルを好きになってしまう。

結婚式なんていらない、という人もいるけれど、わたしは、親から独立して
二人が結婚して暮らしていく為の最初の関門のような気がする。
それぞれの親戚へのお披露目だったり、両親や相手の「価値観」を
知るいい機会だったり、
本当に細かいことまで「どうする?」となるわけだから。
結婚式というと今までホテルの大きなバンケットで盛大に、
というイメージがあったから
きっと「結婚式はしたくない」という人も増えたのだろうけれど、
これからは自分達の望む形式で出来る時代。
大変だけれど、達成感があって一生の記念になるし、これから始まる
新しい生活にきっとプラスになるはず。
わたしの目の前のカップルたちも、そういう段階を経て結婚式を挙げていく。

司会の仕事もわりと順調にすすみ、ちょうど結婚式がシーズンオフの寒い冬のこと。
会社と副業とのバランスもとれ、安定した日々を送っていたわたしは、
そろそろまた新しいことをしたいなぁ、という気分になってきた。

そこで目をつけたのが、ソムリエ、ワインエキスパートというちょっと流行りの資
格。
さっそく葛城さんに、まずはメールで相談してみることにした。
「あの、ワインエキスパートの資格ってどうおもいます?」
「なんてタイミングがいいんでしょうちょうど僕の友達がフランス料理店でソムリエ
を
していて、ワイン教室を開くんだけどよかったらいってみようよ。」と返事がかえっ
てくる。
なんだか面白そうになってきた、ワインかぁ、しかもソムリエってどんな人だろう。

当日葛城さんからメールがきた。「もうひとり僕の友達でチェロを弾くのをつれてい
きます。」
葛城さんの友達というからには、彼と同年代の人を想像していた、が、
待ち合わせ場所に少し遅れてきた「チェロを弾く友達」は落ち着いてはいたが、彼よ
りだいぶ
若かった。趣味のチェロを葛城さんの紹介で、結婚式等でも弾いているとの事。
そして、その年の7月、約半年後に、チェロでなく本業の研究の都合でフランスに4
年住むという。
 実は、その「彼」が後にわたしの夫になる人。1年後には彼と一緒にフランスで生
活を始める
のだが、その記念すべき「未来の夫との出会いの日」を葛城さんが偶然にも作ってく
れた事になる。

私たちは、共通の話題を探して、フランス映画の話になった。偶然にも同じ映画をよ
く観ていて、
その後、ワイン教室で気に入るワインもお互い同じものになることが多かった。
今思えば、神様が気づかない私たちに何度か「サイン」を送っていたのかもしれな
い。


さて、ソムリエの澤口さんはわたしの想像する「難しい顔をしたソムリエ」像とは大
分かけ離れていた。
まず、とっても若くて、話が面白かった。ワインを心から愛していて大切にしている
のが伝わってくる人。
なにしろワインのテイストの表現にある「ミモザの香り」ってどんなだろう、の一心
でフランスまで飛んでいって
しまうのだ。

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